東高円寺 小満津

小満津のうなぎ

うなぎの蒲焼きは「串うち3年、割き5年、焼き一生」と言われるように、シンプルゆえに求道的な仕事が要求されます。

まず最初に行われるのが「白入れ(素焼)」です。うなぎ自身の脂でくるむように素早く万偏返しで焼いていきます。

次の「蒸し」も、きめ細かい作業です。店主曰く「身をふっくら仕上げる為に長く蒸す。目安はだいたい1時間、火加減を変えながら蒸すのがコツ。天然物は身が硬い事もあって2時間以上もかかる時もある 」と。

ぎりぎりまで柔らかく蒸したうなぎにタレをつけて焼き上げるのが「本焼き」です。「白入れ」「蒸し」にわずかでも至らぬところがあると、本焼きの段階での修正は難しくなります。

このように、仕入れたうなぎの個性に応じて「蒸し」「焼き」「たれ」を微調整していきます。全ての工程が緊密に絡み合う、一瞬の気の緩みも許さない繊細な作業です。

素材となるうなぎは、確かな目利きの出来る問屋との信頼関係が必須です。その時々の上質な物を届けて貰っています。加えて、うな重を引き立てるごはん。予約のお客様ごとに炊き上げています。一番美味しい瞬間をお召し上がりいただきたいので、ご予約のお時間にご来店いただけますと幸いです。

うな重にかけるタレは、「かけダレ」、本焼きの時にうなぎをつけるタレは、「つけダレ」。どちらも味醂と醤油をじっくり煮詰めた物ですが、開店以来継ぎ足しているつけダレは、時が経つほどうなぎの美味しい脂を馴染ませ、蒲焼きの味の決め手となります。店主は、季節ごとに煮詰め方を微妙に変えています。配合も、お客様とのやり取りの中から感じる時代の味覚を反映させるため、加減しています。

こうして「三位一体の小満津のうな重」が完成します。